DEEPな宮古島〜下地島で90分の遭難未遂、夜中に釣りする人は読んで欲しい
今回は、ディープな宮古島体験の話をします。
長文になります!
3行でまとめると…
真夜中の下地島で遭難
クサトベラに覆われた剣山のような岩場でつま先立ちの四つん這い移動
ボロボロになって生還
興味のある人はぜひ、本文を読んでみて下さい。
正しくは、宮古島でありません。
伊良部大橋を渡った伊良部島の先にある下地島での遭難未遂事件です。
反射板すらない真っ暗闇の草むらをドライブ
釣り好きの友人が宮古島へ行く度にひとりで夜中に釣りへ出かけていました。
夫も同行すると言い出したので、私も一緒に行くことにしたのです。
同行はしても、私自身は釣りをするつもりはなく、ブログ用に写真でも撮るつもりでした。
行き先は、伊良部島の先にある下地島です。
友人は前回(2016/11)も、そこへ釣りへ出かけています。
宮古島のパンフレットを見ると、ちょうどその場所に釣り人のイラストが描かれています。
釣り好きの人たちには、有名な釣りスポットなのでしょう。
パンフレットにある下地島のマップ
ピンク色の印が事件現場です。
すぐ隣りに釣りを楽しむ人のイラストが載っています。
夜中の3時に起床して、出発しました。
真夜中の宮古島で、伊良部大橋へ車を走らせます。
伊良部大橋を渡り、伊良部島から奥の下地島へと進むにつれ、更に暗くなります。
下地島には、本当に何もありません。
GoogleMAPの現在地表示とハイビームが照らす数メートルの光だけを頼りに、草むらをかき分けて行きました。
真っ暗闇の中、GoogleMAPも認識してない場所をわざわざ入っていくんです。
人の背より高い雑草地の中を車で分け入って行きました。
草むらを抜けて、再び舗装された道路へ出ました。
目的地に到着です。
目的地
カーブを右へ曲がり、制限速度の標識が見えたら、そこから少し行った右手に雑草が倒れている場所が駐車場です。
車一台分だけ、雑草が倒れています。
道路がカーブしてる、制限速度の標識があるというのが目印なんです。
まさに、離島の果ての地です。
「剣山の上を歩くと思って」
車を降りると、頭に付けるタイプのライトと手袋が各自に渡されました(!)
支給されるままに、ヘッドライトを頭につけ、手袋もはめました。
洞窟探検にでも行くような装備です。
私はミニスカートで生足なんですが。
そう言えば…
前日、釣りのために長靴を買いに行ったんです。
私が一番安いゴム長を選ぶと、友人にダメ出しされました。
釣りをする場所はゴツゴツと荒れた岩場だから、靴底の厚いものにしなさいと。
**「剣山の上を歩くと思って」**と言われました。
小さいサイズの長靴がなかったので、結局、売り場にある底が厚めの運動靴を選びました。
車を止めた場所から数十メートル戻り、海側の藪へ入っていきます。
入っていくと言っても、道はありません!
藪ですよ、夜の真っ暗闇の中で藪…
藪の先は、剣山と称されたトゲトゲ石灰岩の岩場です。
石灰岩のトゲトゲした岩場
この写真は宮古島の海ですが、石灰岩でできた岩場はこんな感じです。
ここで、友人の想定外だったことがひとつあります。
前回は冬のはじめでしたが、この時は4月です。
緑の季節を迎えており、岩場はクサトベラで覆われていました。
石灰岩の岩場によく生えているクサトベラ
これが岩場全体を隠すように覆い茂っています。
トゲトゲしい岩場でひとりツイスターするはめに
一歩藪へ踏み込むと、そこから先は普通に歩くことが難しい岩場でした。
友人は右と左、交互に足の置き場を見つけながら、器用に先へ進んでいます。
友人が先導して、次にわたし、夫が最後尾の布陣です。
石灰岩の岩場の8割はクサトベラで覆われていました。
ライトで照らしても下の岩場が見えないくらいにクサトベラがうっそうと茂っているんです。
通り池の石灰岩とクサトベラ
現場からも近い下地島の通り池の写真です。
これは11月終わりですが、私たちが行ったのは4月で岩はほとんど見えません。
数歩進むと、まっすぐ立っていられなくなりました。
石灰岩がゴツゴツと尖っているので、足全体で地面を踏むことができません。
足の爪先だけしか乗せられないんです。
クサトベラの茎が交差してると思って足を乗せ体重をかけると、パキパキと折れて足を踏み外します。
両足の2点だけでは、どうしてもバランスが取れなくて、手をつきながら歩きました。
あっという間に手が痛くなりました。
15分ほど進むと、私の腰くらいの崖にぶつかりました。
友人が先に登って、私を引き上げてくれました。
ふつう崖とか登ったら、ゴールだと思うじゃないですか。
ところが登った先は、さらにアップダウンの激しい岩場でした。
クサトベラの直ぐ下が岩場なのか、岩場が削れた落とし穴になってるのか、まったく分かりません。
足場にするにはクサトベラでなく、岩場でないと危険です。
片手と両足の3点確保も厳しくなり、私は四つんばいにならないと進めなくなりました。
尖った石灰岩を手でつかみ、少し体重をかけ片足ずつ次の足場を確保して進みます。
互いが絡まるように生えているクサトベラに引っかかり、何度も躓きそうになりました。
靴ヒモをほどかれ、2〜3回結び直したところで、ヒモは靴の中へしまいました。
首から下げていたカギ類は友人に預け、手提げカバンは夫の持つクーラーボックスに入れてもらいました。
手足の届く範囲につかめそうな岩が見えない場所では、クサトベラの根っこに近い茎を3〜4本まとめて引っ張ってみます。
抜けなければ、そのまま引っ張りながら、足を移動させる場所を探します。
右手、左手、右足、左足…と4段階を経ないと1歩も進めなません。
つま先しか着地できない状態で、ひとりツイスターです。
釣り場まで、予定では道路から歩いて30分くらいでしたが、全然そんな感じじゃありません。
友人にとっても、想定外の状況だったようです。
私たちは釣りを諦めて、帰ることにしました。
落とし穴だらけの岩場、すぐ後ろには波の音
最初に引っ張り上げてもらった崖を降りるのは厳しかろうと、もう少し進みやすいルートを探して帰ることにしました。
これが、失敗でした。
下地島の端っこ、クサトベラと石灰岩しかない岩場で遭難してしまいました。
進めば進むほど、アップダウンが激しくなります。
岩場は岩場でも「剣山の上を歩くと思って」と言われた場所です。
口には出しませんでしたが、本当に帰れるんだろうかと不安でいっぱいでした。
友人が先頭で、時々スマホの現在地表示で方向を確認しながら、ルート取りをします。
私は黙々とツイスター状態で一歩ずつ着いていきます。
頼りにならないGoogleMAP
友人が先に行って、私から見えないくらいに離されたので、ライトで周囲を確認すると、かなり深く切り込まれた崖がいくつもありました。
私の背なら埋もれる深さです。
友人は釣り道具一式を持って、それを杖代わりにしていました。
夫はクーラーボックスに釣り餌と私のカバンなどを入れて、重し代わりにしてました。
二人とも重い荷物を持ちながらなので、汗だくでした。
クサトベラのすき間の黒い影は、増えていくばかりです。
その影の下が数十センチ程度の穴なのか、深く削れた危険な崖なのか分からないので、片手ずつ片足ずつ移動するしかありません。
通り池の石灰岩(2)
※上下どちらも11月終わりの通り池の写真です、4月はクサトベラぼうぼうです。
岩場には深い穴や崖があるというのが分かるかと思います。
通り池の石灰岩(3)
※海へ近づけば近づくほど、落とし穴ポイントが増えます。
転んだり足を踏み外せば、鋭い石灰岩の先端でケガをします。 深い崖のところで足場を間違えたら、大惨事です。
ザーザーと言う波の音で、海が近いと分かりました。
後で聞いたのですが、海から50センチという崖まで行ってたそうです。
海が近いのは気づいてましたが、そんなに近いとは分かりませんでした。
真っ暗闇で、ライトが当たる目の前だけしか見えないのがかえって幸いでした。
怖くて、ずっと膝の震えが止まりませんでした。
四つん這いのまま、90分間の遭難
鋭く切り込まれた屏風状の岩場が続き、先頭を行く友人もルート取りに困り、これまで来た道を戻るという判断になりました。
私がすっぽり入るような深い穴に囲まれ、進める方向がなくなったのです。
戻るしかありません。
折り返しの前後で、夫はiPhoneを紛失。
買ったばかり、14万くらいしたのに。
スマホ本体もですが、旅行の動画や写真がなくなるのは残念でした。
けれど、友人と夫だけなら、道路まで戻れます。
(2人は立って移動できてる、私だけが四つん這い移動)
私がお荷物なのは百も承知でしたので、黙々と必死で着いていきました。
諦めたり、ケガでもしたら、助けを呼ぶために置いて行かれるかも?
置いて行かれてる間に潮が満ちてきたら?
満潮とか干潮の時間は確認していませんが… 身動きできずに波に運ばれてしまいます。
私は絶対にケガだけはしないように、一層注意深く進みました。
四つんばいですけど。
子鹿並みに足が震えてましたが、諦めませんでした。
遭難途中、クサトベラにアザミが混じっている場所があり、手袋の上からでもトゲが手に刺さりました。
もう岩場や草木で、足も切り傷・擦り傷だらけです。
足の裏全体に体重をかけられる喜び
折り返しから約30分、90分にも及ぶ遭難が終了しました。
つま先だけで四つんばい移動しながら岩場をさまよい続けましたが、何とか舗装された道路へ戻ることができました。
足の裏全体に体重をかけても良いという状態に感激して泣きそうでした。
90分あったら、東京駅から新宿駅まで歩いて行けますからね。
真っ暗闇の中、ずっと剣山みたいな岩の上を這いつくばって…軽くショック状態になりました。
手のひらには斑点状のキズ、足にもキズ、全身の筋肉痛は1週間ちょっと続きました。
防波堤に駆け上ったりテトラポットの上で釣りを楽しむような釣りマニアの友人ですが、こんな思いはしたことないと言ってました。
夫も、いつ私が諦めるかとハラハラしてたそうです。
歩けないと言い出したらどうしよう? といろんなことを思いめぐらせたと言ってました。
お荷物ながらも最後まで諦めなかった自分に、ある意味感動さえしました。
人生で、こんなに根性を見せたことはありません。
ちなみにしばらくはショック状態で、宿へ戻っても眠れませんでした。
さらっと書いてますが、本当に九死に一生でした。
通報もせず、救助もされず、大きな怪我もせず、無事に戻れたのは本当に良かったです。
ちなみに、三人とも手のひらと足は擦り傷だらけです。
友人はズボンが破れてひらひらしてました。
夫は先述のようにiPhoneを紛失。
釣り好きの皆さん、春夏の岩場にはくれぐれもご注意下さい。